猫の肥満細胞腫
猫ちゃんの体表にできる腫瘍はいろいろありますが、発生頻度が高い順に並べると
1位 基底細胞腫
2位 肥満細胞腫 ← 今回のお話はこちら!
3位 扁平上皮癌
となります。
「肥満細胞腫」というと「太ってるの?」と思われがちですが、実は「肥満」とはまったく関係ありません(笑)
肥満細胞とはどんな細胞かというと……
・独立円形細胞と呼ばれる丸~楕円形の細胞です
・もとは血液の細胞ですが、血管の中ではなく皮膚や粘膜の下に待機
・花粉やダニなどアレルギーの原因が入ってくると、ヒスタミンなどの物質をドバッと放出してアレルギー反応を引き起こす
→ まさに「アレルギーの主役細胞」です
その待機場所で異常増殖してしまったのが「肥満細胞腫」です。
今回ご来院いただいた猫さんは、なんと「2回目」の肥満細胞腫でした。
前回からずっと気を付けて見てくださっていたので早期発見につながったのですが、本当に本当に小さくて……
「ここら辺なんです!」と言われても、撫でてもほぼわからないレベル(笑)
何度も指先で探って、やっと「ちょっとポツッとした感触があるかも……?」という感じでした。
小さすぎて細胞診(針で細胞をとる検査)も大変!
「本当に腫瘍に刺さってるの?!」とドキドキしながらなんとか診断→無事「肥満細胞腫」と確定しました。
猫ちゃんで肥満細胞腫が複数個できる場合は、まれに「内臓にできた腫瘍が皮膚に転移している」ケースもあるため、念のため超音波検査でお腹の中もチェック!
→ 今回は内臓に問題はなく、安心しました。
そして手術へ。
毛を刈ってみても、針の跡がなければどこにあったのかわからないくらい小さかったです。
猫の皮膚型肥満細胞腫は、幸いなことに「周囲に根を張る(局所浸潤)」ことがほとんどないため、今回は最小限のマージン(周囲の正常皮膚)で切除。
病理検査の結果も「完全に取り切れています!」とバッチリでした◎
今回は本当に小さな小さな腫瘍でしたが、早期発見・早期治療ができたのは、飼い主さんが「なんか変だな?」と見逃さなかったおかげです。
本当にありがとうございました&お疲れさまでした!